2023/03/30 13:26
日本にいながらバリ島をより身近に、より良い場所に、より好きになれるプログラム、”Share the big LOVES”。 人・地球・動物に優しいブランドを目指すLilave。 そんなブランドミッションを達成するために、売り上げの10%をバリ島内の犬の保護活動に役立てています。 「なぜ犬の保護活動でバリ島に還元しているのか?」についてはぜひ「Share the big LOVES 第一回目活動報告」をご覧くださいませ。 今回は、”Share the big LOVES”番外編です。 売り上げの一部を用いた活動とはならなかったものの、バリ島に置ける犬の保護活動のリアルを皆様に共有し、バリ島に訪れた際・または日本から、保護活動に参加できる方法をお伝えしてゆきます。 今回の主役となるのは、マフィン。推定生後1.5ヶ月の小さな体で保護当日中に苦しみの中旅立っていった女の子です。 (マフィンはLilaveが保護・治療しましたが、未来ある犬たちへ費用を回すために売り上げは割り当てていません。よって今回、活動費の報告はございません。)
マフィンとの出会いは、小雨が降る肌寒い朝。
Lilaveの事務所の周りから子犬のような動物が泣き叫ぶ声が響いてきました。
鳴き声がする事務所前の丘を進むと、小さな生き物が動いている姿が。
近づくと、身体中が穴だらけでひどい臭いを放つ子犬が、白いご飯を敷き詰めた紙の上に捨てられていました。
抱きかかえると安心したように泣き止む子犬。これがマフィンとの出会いでした。

マフィンの体をよく見ると、全ての傷口の中に数え切れないほどの蛆虫が湧いていました。
すぐに近くの獣医で治療を開始しました。
体が小さすぎて麻酔ができない中、全ての傷口から蛆虫をえぐり出し生傷に消毒液をかける、辛い治療にマフィンは1時間以上耐えました。
自宅に戻るとミルクをのみ、ベッドの上をもの珍しそうに探索した後、安心したように眠りにつきました。
しかし、その日の深夜、マフィンの容体が急変。突然苦しそうに大きく呼吸しながら、泣き叫び始めました。緊急入院ができる大きな病院に連れて行く道中、マフィンの命が両手から滑り落ちて行く感覚がありました。
深夜1時から緊急入院となるも、その2時間後にはマフィンは旅立ちました。

穴ぼこだらけの体で、誰かに優しくされることもなく、冷たい雨に晒され続けた後、苦しみの中1.5ヶ月の短い生涯に幕を閉じました。
最初に受診した獣医に適切な治療を行ったのか確認を取ると、「その子犬は初めから深刻な状態だったから死んだことは仕方がないことだ」との返答でした。なぜ初めから深刻な状態だったことを伝えずに「2、3ヶ月で治る」と診断したのか、それを信じてしまった自分自身と獣医への怒りが湧いてきますが怒ったところでマフィンはもう帰ってきません。
のちに、マフィンは野良犬から生まれた子犬であること、地元の人がLilaveの事務所前に置いていったことがわかりました。
地元の人と話している際に、「ああ、その子犬は俺が置いておいたんだよ」と悪びれもせず自分から申告してきたことで、判明しました。
明らかに苦しんでいる両手に収まる小さな子犬を、冷たい雨に晒し捨て置きながら、白米をあげたのだからとむしろいい事をしたと思っているのが、理解に苦しみます。
一方で、マフィンの事を共に気にかけ、マフィンが亡くなった際には埋葬まで手伝ってくれた地元の人もいます。
マフィンのことを知ると診療中の獣医まで半ば強引に駆けつけ、治療方針にがやを入れながら見守り、マフィンの自宅療養を手伝うことを申し出てくれました。
マフィンが亡くなった悲しみと救いきれなかったやるせなさに寄り添い、共に泣き、Lilaveに埋葬場所がないことを知ると自宅にマフィンを埋葬し、毎晩祈りを捧げてくれました。
人間以外の命への考え方のギャップや、想像を超えた悲惨な状況の犬たちが存在することが、バリ島の現実です。
マフィンを発見し丘に放置した人も、事態の深刻さを伝えなかった獣医も、普段は笑顔の絶えない、時には野良犬を助けることもある、「優しい人」です。
ただ、「可愛いと思えない」「どうやって治療したらいいのかわからない」時には、救うことや正直になることを本当に簡単に諦めてしまい、次の瞬間には忘れているか自分を守ることに徹してしまうのです。
そういった人たちは皆口を揃えて「こうするしかなかった」と言います。
「こうするしかなかった」と言いながら子犬をゴミ箱に捨てる人、去勢や避妊手術もしていない犬を放し飼いする人で溢れるバリ島の現状を変えようと試行錯誤している人たちもたくさんいます。
しかし日々犬が生まれ続けるバリ島では、犬たちの未来を救う人間の手が足りません。
そこでここからは、日本からもできる保護活動への加わり方と、バリ島を訪れた際に外で暮らす犬たちのためにできる”Share the big LOVES”なことをお伝えしていきます。
日本からでも参加できる、バリ島の野犬保護活動
①保護団体・個人活動家への寄付
有名な保護団体は、大抵InstagramなどのSNSで活動の様子を公開しています。その多くは常に自転車操業状態のため、寄付は大きな意味を持ちます。
寄付の募り方はそれぞれ異なるため、プロフィールのアーカイブなどから確認しましょう。
保護団体・個人活動家の例:ぱんはな家、BAWA (Bali Animal Welfare Association) 、BPC (Bali Pet Crusaders) 、Bali Paws 、Mission Pawsible
②保護団体・個人活動家のSNS等をフォローする
SNSのフォローをするだけでも、実は大きな意味があります。たくさんの人が現状を知ってくれることで、上記の団体への寄付等に繋がることがあるためです。
また保護活動の苦しさの大きな要因として、孤立しながら、倫理観が噛み合わないたくさんの人やコミュニティと対峙してゆかなくてはならないことが挙げられるため、応援してくれる人が世界中に存在していることはかなり強い心の支えになります。
日本の保護や医療のスタンダードと異なる事がありますが、批判よりもぜひ応援の言葉を送るようにしてみて下さい。
Dr.Adhyに聞く、旅行でバリ島に訪れた時にもできる”Share the big LOVES”な事
バリ島のビーチには、丸々とした体でのんびりと海水浴を楽しみ、木陰でスヤスヤと昼寝をする犬たちの姿があります。
一方で、犬好きさんの中には、路上に出ると明らかに人の助けが必要な野良犬たちもいることに気づいた方もいらっしゃるかもしれません。
旅行で来ているだけだから何もできない…と苦い思いを飲み込むだけでなく、少しでも命を繋ぐ方法があります。
第2回のShare the big LOVESでコミュニティードッグの「コニョン」と「マリカ」の去勢・避妊手術を行ってくれた、10年以上の保護活動の実績のあるアディ先生に旅行中でもできることを聞きました。
Dr.Adhyに聞く、旅行者にもできる”Share the big LOVES”な事
①まず安全第一。不用意に犬に触ることは避けましょう。
バリ島の犬の多くは人馴れしていますが、いきなり上から触る、覆いかぶさるように抱えるなどはどの犬にとっても不快です。手のひらを犬に見せながら嗅がせ、唸る、顔を背けるなどのサインがないことを確認しながら少しずつ距離を縮めましょう。
②食料を与える。ドッグフードは1キロあたり200円〜300円程度でペットショップで手に入ります。
白米、チキンなどの残飯でも構いません。(鶏の脚は骨が刺さる危険性があるため避けましょう)
③Deworming Tablet(寄生虫駆除薬)やAnti Tick Medicine (ノミダニ除け)を与える。
中型犬でだいたい10-15kg程度の犬が多く、薬はペットショップで手に入ります。
バリ島では寄生虫によって内臓にダメージがある犬、ダニによって血液が病気に侵されてしまう犬がとても多いためだそうです。
※バリ島の路上にいる犬は全て野良犬とは限らないため、できれば周囲の現地の人に許可を取ることをおすすめします。
その他にも実行してみれば意外と簡単にできることはたくさんありますが、上記は言語が通じなくとも、限られた時間しかその場にいられなくともできることです。気になる犬がいた際に思い出していただけると幸いです。
今回は”Share the big LOVES”番外編として、バリ島における保護活動の難しさと皆さんの”big LOVES”を日本にいながらバリ島に届ける方法をお伝えしました。
次回のShare the big LOVESの活動報告もお楽しみに!