2025/11/17 11:20
空港から一歩外に出た瞬間、カラッとした春の青空と、海沿いから吹き抜ける涼しい風に包まれた。
真横に広がる海面がキラキラと光り、「おかえり」と言ってくれているよう。
久しぶりに帰ってきた大好きな場所、オーストラリアのゴールドコースト。
ここに住んでいたのは、もう6年前のこと。
ずいぶん昔のように感じるけれど、空気も匂いも、街の雰囲気も、あの頃と変わっていなくて、いつ戻ってきてもホッとする場所。
5月のメンタワイサーフトリップで仲良くなった友達が空港まで迎えに来てくれて、そのまま海へ直行。

近くのビーチブレイクをチェックして、ツインフィンを抱えてパドルアウト。
春の少し冷たい透き通った水が、長時間のフライトで鈍った身体をゆっくりと目覚めさせてくれた。
駐車場で隣に停まったサーファーと他愛もない会話を交わしながらスプリングスーツに腕を通す。
柔らかくて真っ白な砂浜を歩くと、ラインナップの向こうに見えるサーファーズパラダイスのビル群。
いつものリーフブレイクとは違って、短いピークとテンポの早い波。でも、波待ちが少なくてテンポのあるこの感じも悪くない。

サーフィンの後は、歩いて近くのコーヒーショップへ。
このエリアはどこも朝5時からオープンしていて、センスのいいお店ばかり。
太陽を浴びながら、美味しすぎるコーヒーとバターが溶けた温かいバナナブレッドを頬張る。空港を出てまだ数時間しか経っていないのに、すでに最高のスタート。


透き通った空気、水道水が飲めること、広大な土地、そしてノイズの少ない穏やかな時間。
身体もマインドも自然なリズムに戻り、グラウンディングしていく。
きっと、こんな「何も特別じゃない日常」を心のどこかでずっと欲していたのかもしれない。
インドネシアでは、波を追いかける毎日。
バレルを求めて旅をし、バリでは目まぐるしい発展の中で暮らす。良くも悪くも、そこには常に刺激とアドレナリンがある。
一方で、ここオーストラリアでの生活は、私が求めていた「普通の暮らし」に近い。
ビーチやレストランでは家族連れをよく見かけ、夜は家族や友達とテーブルを囲んでゆっくり過ごす。
刺激が少ないと言われればそうかもしれない。
でも、静かな日々の中にある小さな幸せや、自然と心が整っていく感覚がここにはある。
バリではみんなが常に何かを生み出していて、動き続けている。
新しいプロジェクトに挑戦したり、クリエイティブなエネルギーが溢れていて、ワクワクする瞬間も多い。
そんなバリのスピード感も大好き。
だけど不思議なことに、人はいつも「持っていないもの」を求めてしまう。
インドネシアにいると、この穏やかさや日常が恋しくなり、オーストラリアにいると、あの自由で刺激的な日々が恋しくなる。

結局のところ、大事なのはバランス。
今の私は、そのバランスを学んでいる途中なんだと思う。
いつも心のどこかで「どちらが自分に合っているんだろう」と考えていたけれど、たぶん、焦って答えを探す必要はないのかもしれない。
インドネシアとオーストラリア。
全く違うようでいて、どちらも私の中にちゃんと共存している。
インドネシアでは、海のエネルギーや人との出会いに突き動かされ、
オーストラリアでは、自然の静けさの中で心が整っていく。
それぞれの土地が私の“陰と陽”のように支え合っている気がする。
どちらも、これからの私にとって欠かせないもの。

大学時代にニューヨークへ留学し、中東での仕事やオーストラリアでのワーキングホリデーを経て、現在はバリ在住。
フリーライター、翻訳家、クリエイターとして多岐にわたる活動を行っている。
波と人、そして直感に導かれながら、海のそばで自由なリズムを大切に暮らしている。
