2025/08/18 18:06
自分の心の声に耳をすませながら、
自然とともに暮らす女性たちの“今”を大切に綴るコラムシリーズ、"Sun and Soul"。第1回目に引き続き、Mikiがサーフィンのメッカ、メンタワイへのボートトリップの様子を綴ってくれました。
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運命の人も、天職も、心地よく暮らせる場所も——いつ出会えるかは誰にもわからない。ありきたりな表現だけれど、人生ってそういうもの。思いがけないタイミングで、予想もしていなかった出会いが訪れる。
初めてメンタワイを訪れたのは今からちょうど2年前の2023年8月終わり。
それもトリップに行くと決めたのはいつも通り3週間前くらい。
多分行ったことある人にしか分からないけど、メンタワイに恋に落ちるのは1日もかからない。
「何がそんなにいいの?」と聞かれても、「全部」としか言いようがない。
世界中の多くのサーファーが、最高の波を求めてここを目指すように、私にとってもメンタワイはずっと「いつか行ってみたいサーフトリップ先リスト」の一つだった。
メンタワイに着いた、瞬間ボートから見える景色を見てなぜここが多くのサーファーを魅了するのかすぐにわかった。
ワールドクラスの波、透き通ったクリスタルブルーの水にハッキリと見える珊瑚礁、見渡す限りのヤシの木、手付かずの自然の中に溶け込むように建てられたバンガロー造りの家。
夢の中にいるかと思うくらい現実離れした景色が広がっていた。
それからというものは、毎年シーズンになるとここに来ることがリチュアルになり来るたびにもっと虜になった。
今年はラッキーなことに2回のボートトリップをすることになり合計1ヶ月をこの大好きな場所で過ごすことが出来た。
(実は去年のジャーナルを見返すと来年は1ヶ月ここで過ごす!と宣言していてやっぱり叶っていた。だから来年は3ヶ月ここで過ごせるようにまたジャーナルに書き足した。)
サーフィンって思ってたより奥が深くて、
上手くなりたいとフォーカスする一方で、根本の楽しむことを忘れたくないのは大前提。
このバランスが意外と難しくて、ショートボードを始めたばかりの頃は上手くなりたい気持ちが勝ちすぎて、海の中で楽しむ余裕がなくなっていた。
「1本でも多く波に乗りたい」
「波の上でこんなターンをしたい」
そんなエゴがどんどん膨らんで、それができなかった日は悔しくてたまらなかった。気づかないうちに、“ガツガツしたサーフィン”になっていた気がする。
だけどサーフィンを始めたのはこんな理由じゃなかったはず。
ただただ波に乗る感覚が楽しすぎて、ラインナップで出会う人との会話、海から見える違った景色。そんな単純なことだった気がする。
メンタワイトリップは毎回、スポーツじゃない、人生の一部としてのサーフィンの楽しさを自分に吹き返してくれる場所。
朝日の出と共に起きて綺麗にブレイクする波を、ボートから友達とコーヒーを飲みながら眺める。
朝10時には1セッションを終えて、昼寝をして、また波が良ければ好きなだけサーフィンする。そんな日々を12日間送っていると、良い意味で何が現実かわからなくなる。
ボートメンバーはいつもランダムで、仲良くなったサーファー友達のトリップについて行ったり、ガールズトリップに参加したり。
そしてボートトリップで一緒に時間を過ごす友達とは一生ものの繋がりが生まれる。
まさに見ず知らずのstrangerからbig familyになる感覚。
もちろん、“サーフィン”という共通言語があるから、話が尽きない。
最高の波の話、壮絶なワイプアウト、過去のサーフトリップの思い出……。
まさに “Only surfers know the feeling.” サーファーにしか分からないあの感覚が、心の距離を一瞬で縮めてくれる。
私はもともとサーフィン一家に生まれたわけじゃないし、子どもの頃からやってたわけでもない。特に誰かに教わったわけでもなく、20代半ばに始めて、ラインナップで他のサーファーを見て学んだ。始めはルールが分からなくて他のサーファーに注意されたこともあるし、だけどそれも全部今では糧になっている。
5月末に行ったボートトリップ第2弾は2年前に出会ったオーストラリア人サーファーとその友達。みんなシドニー南のWoolongongと言う生粋のサーファーの街出身で、バレルに乗るのは彼らにとって朝食前。
「この旅で絶対にバレルメイクしたい!」と願った目標を叶えるにはこれ以上ない場所とメンバー。
そんな私の意気込みを見かねた皆、「Go for this wave! Pull in!」と言って波を譲ってくれて海の中の雰囲気は最高潮だった。
小さい頃から波に囲まれて育ってきた彼らと同等にこのトリップを楽しめたのがどれだけ嬉しかったかは言葉に出来ない。
子供の頃に戻ったように、日が暮れるまで無人島で遊び、曜日感覚もなくなるほど波を追いかけ、お腹が痛くなるほど笑った今年のメンタワイ旅。
来年は何が待っているのか、楽しみで仕方がない。
着用ジュエリー:フランジパニリング、レイヤードネックレスセット(フィガロチェーン、フランジパニチャーム)、ドロップラリマーリングセット(現在廃盤、ドロップムーンストーンリング販売中)
大学時代にニューヨークへ留学し、中東での仕事やオーストラリアでのワーキングホリデーを経て、現在はバリ在住。
フリーライター、翻訳家、クリエイターとして多岐にわたる活動を行っている。
波と人、そして直感に導かれながら、海のそばで自由なリズムを大切に暮らしている。